SNSや若者言葉として利用される「エモい」という言葉。
「もうエモいは古い!」なんて言われることもありますが、エモいの意味がハッキリしないまま使っている方も少なくないはず。
今回は、「エモい」の意味をなるべくわかりやすく簡単に解説すると共に、「エモい」が古いと言われる理由についてもご紹介していきます!
「エモい」の意味をわかりやすく簡単に解説!
「エモい」の意味をわかりやすく簡単に一言にすると、現代における「もののあはれ」を意味します。
「エモい」を意味する「もののあはれ」について、学生時代などに古文に馴染みのなる方であればイメージしやすいかと思いますが、しみじみした「情緒」や「趣き」など、言葉ではハッキリ表現することが難しい「感情に訴えてくるもの」を意味します。
「もののあはれって、どんな意味?」とピンと来ない方はご安心下さい!
これから、わかりやすく簡単に説明していきますので!
では、「エモい」が意味する「もののあはれ」について見ていきましょう!
「エモい」は現代版「もののあはれ」を意味する言葉
では、「エモい」が意味する「もののあはれ」について見ていきましょう!
「もののあはれ」とは、無常な物事(変化がある物事)に対する「しみじみした趣き」を表現する言葉。
昔の日本(特に平安時代)における美学や価値観に関する理念の一つです。
古来日本人の趣きを表現するものとして、「をかし」という言葉を聞いたことありませんか?
そう、枕草子(まくらのそうし)で有名な「いとをかし」です。
(※「いと」は「とても」を意味する言葉。つまり「いとをかし」は「とても趣がある」という意味になります)
「もののあはれ」と「をかし」は、どちらも「趣がある」と訳される言葉ですが、少し意味のニュアンスが異なります。
「をかし」は明るい美しさを表現する言葉であるのに対し、「もののあはれ」はしみじみした情緒的な美しさを表現する言葉なんです。
わかりやすい簡単な例として、「満開に咲く桜」と「散っていく桜」をイメージしてもらえればと思います。
春に満開に咲く桜を見た我々は、その目に映る景観の「明るい美しさ」=「をかし」を感じるかと思います。
一方、風に煽られて散っていく桜吹雪を見ると、満開に元気よく咲いていた桜を知っているからこそ、どこか切なくも儚い美しさを感じて、「しみじみした情緒」=「もののあはれ」を感じるかと思います。
そう、その言葉では表現しきれない「儚さ」「哀愁」「懐かしさ」といった趣きを意味する言葉が、現代で言う「エモい」という言葉なんです。
「エモい」の由来
「エモい」の語源となる「emotional」(エモーショナル)の意味は、「感情的」や「情緒的」といった意味。
「エモい」は、英語の「emotional」(エモーショナル)を省略した表現で、「エモーショナル」+「○○い」=「エモい」といった形で利用されます。
「エモい」が広く使われるようになった由来としては、「emo」(エモ)という音楽ジャンルにあります。
1990年代後半~2000年代初頭にかけて確立されたジャンルであり、「エモーショナル・ハードコア」を筆頭に、主に当時人気であったロックやパンクを中心として、「emo」は音楽だけではなく、ファッションやライフスタイルなどにも影響を与えていきます。
音楽ジャンルの定義が曖昧ですが、「emo」はパンクやハードコアで見られる特徴的なギターサウンドと、キーボードやシンセサイザーを用いたメロディカルで哀愁さを表現する音楽ジャンルとされています。
ただ、音楽シーンでも使われる「エモい」について、サウンドジャンル的な「emo」を指すばかりではありません。
青春パンクのような、淡くも懐かしさのある、人情的で感情的な歌詞(リリック)。
叶わない長年の片思いを前向きに終わらせることを描いたメロディや歌詞。
などなど、簡単な言葉では言い表すことが出来ないものを表現しようとするメロディや歌詞に、我々は心を動かされて「エモい」と感じる訳です。
例えば、「満開の桜の下で見た君の笑顔」という歌詞であれば、出会いの春や新しい動きのある春の恋をイメージさせますし、「彼の隣にはいない自分の足元には散った桜が落ちてきた」という歌詞であれば、淡い春の恋か、深い失恋を経験したことをイメージしますよね。
「エモい」の使い方
SNSでも良く利用される「エモい」という言葉は、実は使うのには難しい言葉なんです。
その理由は、例えばある曲を聞いて「エモい!」と感じることと感じないことがあるように、言葉には出来ない「表現力」が求められる言葉であるからです。
わかりやすく簡単に言うと、「エモい」という言葉にはセンスが問われるということ。
例えば、「この新曲マジエモいんだけど!聞いてみて!」と友達にオススメしたところ、「ハッ、どこがエモいの?」と共感を得られなければ、自分の価値観を否定されたような気持ちになりますよね。
一方で、オススメした友達に共感された後、その友達からどんどんシェアされて、「○○さんがオススメした曲、マジエモいんだけど!」などと多くの人に共感されたら、「センスがある人」として認められて嬉しくなるかと思います。
TwitterやインスタグラムなどのSNSで自分の価値観(センス)を表現することが多い現代であるからこそ、「エモい」が流行したとも考えられるでしょう。
「エモい」の基本的な使い方は以下の通りです。
- 「○○の新曲、エモくない?」
- 「学生時代の写真見つけたら、エモくてやばい」
- 「かまって欲して寄ってきたウチのネコがエモい」
- 「(ドラマの俳優)がエモすぎる」
- 「今日食べたラーメン、エモすぎる」
などなど、何か自分の感情を動かされたものを評価することと同時に、多くの人に共感してもらえるであろう自分のセンスを表現している言葉だったりするのです。
また、「エモい」が個人のセンスや表現力を意味する言葉でもあるので、あえてセンスが無いことをイジる意味として「エモい」が使われることもあります。
イジりとして使われる「エモい」であっても、プロの芸人さんのように、ただ人を傷つけることの無いイジりであるからこそ、またセンスが問われる言葉なのでしょうね。
「エモいは古い」と言われる理由
「もうエモいは古い!」と言われる理由は、以下2つです。
- 流行的なトレンドが過ぎてしまったから
- 10年以上前から使われていた言葉であるから
SNSなどでも「エモいは古い」とされる理由の一つとしては、単純に多くに人に知られて、一時的な流行やトレンドが過ぎ去ってしまったからです。
毎年流行語大賞が発表されますが、その来年以降に流行語を使っているかというと、流行語のほとんどが使われていなかったりしますよね。
インスタグラムを中心に流行った「チル」という言葉も、今ではもう古い言葉として扱われているかもしれませんね。
⇒ 「チル」とは?インスタで使いたい「チルする」「チルってる」の意味!
もう一つの理由は、エモいの由来で紹介した通り、音楽シーンでは10年以上前から使われている言葉であるからです。
若かりし頃に、バンドライブやフェスに通っていた音楽好きの方にしてみたら、「何でいまさらエモいが流行るの?」という疑問が生じてしまうということなんです。
その時の流行に乗る、また、好きな音楽を発信するというのは、数年前も今も自分のセンスを表現することを意味する部分があります。
現代の流行と、10年以上前から「エモい」を利用している人それぞれが、自分の価値観を表現するために「エモいは古い!」とするのでしょうね。
「エモい」は表現力が求められる言葉
「エモい」はセンスが問われる言葉としましたが、つまりは、自身の美学や価値観の表現力が求められる言葉であると言えるでしょう。
SNSで投稿する画像や写真。
SNSの投稿から伝わるライフスタイル。
たくさんの「いいね!」がもらえて、多くの人に共感されるSNSの投稿。
確かに、しみじみした趣きを感じる「儚さ」「哀愁」を伝えるには、表現力が求められるものなのかもしれません。
その表現力や無常の美しさに趣きを感じるのは、今も昔も変わりなく、心が動かされる美しさを大切にする日本人ならではの美的価値観があるからなのでしょうね!