新型コロナウイルスの感染が広がる中、日本国内において彼氏や夫などパートナーとの「セックスと新型コロナウイルスの問題」について取り上げられることは少ない。
「濃厚接触になるセックスは新型コロナウイルスに感染しやすい」ことは明白であっても、愛するパートナーとの性のコミュニケーションを簡単に切り離してしまうことは難しいもの。
そこで、アメリカのニューヨーク州保健局のガイダンス文書を元に、セックスと新型コロナウイルス感染に関する問題や対策について解説していきます。
目次
セックスと新型コロナウイルス感染に関するガイダンス
ニューヨーク州保健局のガイダンス文書(2020年3月27日付)では、自宅待機の中でもセックスを楽しみ、かつ新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防ぐためのヒントとして、以下のような指標を示している。
▼ 新型コロナウイルスはどのように感染が広がるか
- 新型コロナウイルスは咳やくしゃみなどによって、半径6フィート(約2m)以内の人に飛沫感染する可能性がある
- 新型コロナウイルスは感染者の「唾液」「粘液」との直接接触によって感染する可能性がある
- 感染者の糞便から新型コロナウイルスが検出されている
- 現地点では精子や膣液から新型コロナウイルスが検出された事例はない
- 他のコロナウイルス(風邪ウイルス、インフルエンザ)では、効率的な性感染はしないことが分かっている
▼ 身近な人とセックスをしよう
- 自分自身が最も安全なセックスパートナーである。
- 自慰(オナニー、マスターベーション)によるセルフセックスは感染を広げない
- オナニーをする場合でも、前後に石鹸と水(または温水)で20秒間手を洗うようにする
- 次にリスクが少ないのは、同棲しているパートナーである
- セックスを含む濃厚接触を少数の身内に限定することが、拡散の予防に繋がる
- お互い同意し合えるパートナーとだけセックスをしよう
- 配偶者や特定のパートナー以外とセックスする場合は、相手を出来るだけ少なく限定するべき
- 対面するデートは避けて、オンラインデートやセクスティングの活用を検討するべき
▼ セックスと新型コロナウイルス感性に対する注意事項
- キスはとても簡単に新型コロナウイルスを感染させてしまう行為である
- キスなどの濃厚接触は身内や限定されたパートナーだけに留めるべきである
- リミング(アナルを舐める)は糞便中のウイルスが口に入る可能性があるので避けるべきである
- コンドームやデンタルダムの利用は、唾液や糞便との接触を少なくしてくれる
- 特にオーラルセックス(フェラチオ)やアナルセックスをする時に効果的である
- パートナーとのセックスの前後においても、石鹸と水で手を少なくとも約20秒間洗うことが重要
- パートナーと大人のオモチャを使った場合には、石鹸と温水で洗浄をして下さい
- 共有して使うキーボードやタッチスクリーンの消毒も
▼ セックスを避けるべき状況
- 自分や相手が新型コロナに感染している場合には、セックスはもちろんのこと、特にキスは避けるべきである
- 新型コロナの諸症状とされる発熱、咳、喉の痛み、息切れなど、感染の疑いがある場合にもセックスやキスを避けるべきである
- 肺病、心臓病、糖尿病、がん、免疫系の弱体化など、新型コロナへの感性で重症化になりうる疾患がある場合にはセックスを避けるべきである
▼ HIV、性感染症、計画外妊娠の予防のために
- コンドームやPrEP(曝露前予防内服)、検出限界値未満のウイルス量(UVL)を保持していることはHIV感染予防に有効である
- その他の性感染症(STIs)の予防においても、コンドームは有効である
- 先の数週間は効果的な避妊方法を確保しよう(計画外妊娠は避けるべき)
※ニューヨーク州保健局ガイダンス原文(2020年3月27日付)
※当ガイダンス文書は発表された日付時点に基づく参考情報です。
※新型コロナウイルスに関する情報は日々アップデートされるものであり、当記事においても今後アップデートされることを前提とした参考情報として閲覧いただけますようお願い致します。
※上の原文を全訳したものではなく、主旨を要約した内容であることにご了承願います。
では、上でご紹介した「セックスと新型コロナウイルスに関するガイダンス」を元に、我々はどのような性生活を送るのが理想的であるか、知っておくべき性の知識に見ていきましょう。
新型コロナウイルスの感染予防とセックスを楽しむために
一つの答えとして、新型コロナウイルスの感性が拡大していく中で、基本的には濃厚接触となるセックスは避けるべきであるでしょう。
当記事を執筆した時点(2020年4月2日)においては日本政府における緊急事態宣言の勧告はなくとも、既に自宅待機を強いられている欧米諸国のあり様はすぐ先にある我々の生活であるかもしれません。
欧米諸国に比べて、生活に密接しているセックスや性事情に対してオープンではない傾向にある日本であるからこそ、「セックスと新型コロナウイルス」という問題についても考えられるキッカケになればと思っています。
自分が感染して傷つかないためにも、大切なパートナーを感染させて傷つけてしまわないためにも。
「現時点で学べること」と「現時点で出来る限りの対策」を知っておくことが大切ですよね。
濃厚接触となるセックスは極力避けるべきである
新型コロナウイルスへの感染を予防するためには、濃厚接触となるセックスは極力避けるべきでしょう。
現時点でセックスによる新型コロナウイルスの感染を示す証拠はありません。
ですが、セックスに伴う唾液の交換となるキスや、お互いの顔や身体に触れ合う直接接触などは、感染の危険を高める行為であるからです。
ガイダンスにある通り、最も安全であるセックスはオナニーやマスターベーションなどのセルフセックスです。
さらなる感染拡大を防ぐためにも、直近1~2週間(2020年4月2日現在から)においては自慰までに留めておくことようにしましょう。
限定した人とだけセックスするべき
自分以外の相手とセックスをする場合は、限定された人とだけセックスをするべきです。
その理由は、お互いの感染リスクを抑えるためだけではなく、万が一感染した場合でも、最小限の拡散に留めておけるから、感染源の特定に繋げることが出来るからです。
- 不特定多数の人とキスやセックスをしない
- 一緒に住むパートナーは、自分の次に安全なパートナーである
- カップルや夫婦であっても、必ず同意の上でセックスをする
同棲カップルや居住を共にする夫婦は、普段の生活において感染リスクの高い距離(約2m以内)で接していることが多いでしょうから、パートナー同士が感染していなければ、お互いを感染させるリスクは低いと言えます。
しかし、感染していても無症状であることもあれば、「自宅待機命令」と「不要不急の外出自粛」とでは、パートナーが外からウイルスを持ち込む可能性は異なります。
もし、限定した人とセックスをする場合でも、必ず話し合い、お互い同意の上でセックスをするようにしましょう。
セクスティングなどの間接的セックスを検討してみる
セックスによる感染リスクを抑えるためには、直接接触を伴うセックスだけではなく、間接的に行えるセックスの方法についても検討してみるべきである。
- Face Timeなどを利用したビデオ通話によるデートや擬似的なセックス
- セクスティングを利用した間接的なセックス
- パートナーと一定の距離をおいて相互オナニーをする
など、直接接触をしないセックスの方法について検討してみるのも一つの選択肢です。
「セクスティング」とは、「sex」と「texting」の組み合わせによる造語であり、性的な画像やテキストをスマホ上で交換し合うことで行う擬似的なセックスのことです。
また、遠隔操作機能のある大人のおもちゃを利用して、感染リスクを減らしたセックスも検討出来るでしょう。
カップルにおける性のコミュニケーションの形について工夫したり、模索してみたりするのも、楽しみの一つとして考えてみても良いかもしれませんね。
大人のおもちゃを利用したセックスも視野に
なるべく直接接触を伴わないセックスを検討するにあたり、大人のおもちゃを利用するというのも一つの手段です。
女性向けであればバイブやローター、男性向けであればオナホールなど、道具を使って擬似的なセックスを体験することも可能かと思います。
ドイツの大人のおもちゃメーカー「ウーナマイザー」は、新型コロナの影響で売上が予想の50%を上回っていると発表しており、世界中で大人のおもちゃへの需要は高まっている傾向にあります。
女性が一人でも楽しめるアダルトグッズの種類は豊富にありますので、彼氏や夫とのセックスに遠慮してしまう場合は、大人のおもちゃを使って楽しむのも良いでしょう。
利用したおもちゃは石鹸や温水(ぬるま湯)で洗浄、消毒するようにしてケアしてあげることも忘れずに。
オーラルセックスやリミングは避けるべき
キスだけではなく、オーラルセックス(フェラチオ)やリミング(アナルを舐める)も避けるべきです。
オーラルセックスは唾液による感染のリスク、リミングは糞便が口内に含まれることで感染のリスクが高まるからです。
新型コロナウイルスは唾液や粘膜から感染するリスクがありますので、なるべき唾液との接触を控えたセックスを心掛けましょう。
避妊や感染予防のためにもコンドームの利用を
コンドームを利用することは、新型コロナウイルスの感染リスクを抑えるためにも有効であるとされています。
特にオーラルセックスやアナルセックスをする場合でも、感染リスクのある唾液や糞便との接触を減らすことが出来ます。
なるべく清潔を保つために、大人のおもちゃを利用する場合でもコンドームを利用した方が安全と言えるでしょう。
また、避妊具であるコンドームを利用することで、予想しない計画外の妊娠を避けることに十分役立ちます。
精子や膣液から感染する事例が見つかっていないとしても、いつ終息するか分からないウイルス流行下において、計画性のない妊娠は避けるべきであるでしょう。
セックス前後の洗浄や消毒は忘れずに
ニューヨーク州当局のガイダンスにおいても、オナニーやセックスをする前後には水と石鹸で約20秒間以上手洗いをするようにすべきとされています。
より感染リスクを抑えるためには、手洗いだけではなく、シャワーに入るなどして身体全体を清潔にすることも大切でしょう。
パートナーとのセックスを終えてピロートークをしながら眠りにつくというのも甘いシチュエーションですが、新型コロナウイルスへの感染を出来る限り防ぐためにも、前後の手洗いやシャワーで清潔を保つことを忘れずに。
セックスをする環境も清潔が保たれているべき
手洗いやシャワーだけではなく、セックスをする環境についても清潔が保たれるよう注意しておくと良いでしょう。
ベッドシーツや枕カバーの洗浄や交換、ベッド柵やベッド棚の消毒など、感染リスクを高める可能性がある部分についても配慮しておくべきかと思います。
また、新型コロナが流行している現在においては、ラブホテルなど外出先でのセックスも控えた方が良いでしょう。
複数の人が性行為をしたであろう環境にリスクが潜んでいる可能性があるでしょうし、単純に外出の回数が増えれば、それだけ感染のリスクが高まってしまいますので。
セックスと新型コロナの問題から考えるカップルのあり方
新型コロナウイルスの感染が猛威を奮う中、キスやセックスだけではなく、デートやハグといった接触さえも控えてしまう状況において、パートナーへの愛情表現は今まで以上に配慮されるもの。
ですが、不安を抱える状況下であっても、今まで以上に言葉で愛情表現を行い、再度お互いの気持ちを確かめ合うことで、また一歩仲の良いカップルとして成長していけることでしょう。
外出自粛やテレワークによってパートナーと接する機会が増えた方も多く、今後自宅待機となった場合にはより接する機会は増えていきます。
接する時間や相手のことを考える時間が増えていく今であるからこそ、今一度「カップルや夫婦としてのあり方」について考えるキッカケになれば幸いです。
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